たまには本の話題 吉村昭 (著)「羆嵐」



実は北海道の下調べ以来、ヒグマについても興味を抱く様になりました。
ネットでいろいろ探して行くうちに 「羆嵐」 吉村昭 (著) 新潮社文庫 という小説に興味を抱き、早速先日注文しました。
昨日入荷、一夜で読みました。

これは実際に苫前の三毛別川沿いの奥地(六線沢)で大正時代に起こった、ヒグマ被害 最大の事件6名死亡(7名と解釈する場合もある)を題材にしたもの。

吉村昭氏の独特のリアルな描写 息もつかせぬ展開 そして熊うち名人銀四郎による最後のシーン迄、一気に最後まで読んでしまった。

当時の開拓者の血のにじむような苦労が伺えると共に、羆(ヒグマ)の恐ろしさ、生身の人間がいかに自然の中でちっぽけな存在であるかを改めて感じ た。

引き込まれる様に最後まで一気に読んだが、描写が凄く・・緊張して読み終えた後、なんとも言えないベビーな状況、虚脱感。

久々読み応えのある小説だったと思います。



文中 導入部だが、私の好きなところがあるので引用させて頂く。

その年も、紅葉は天塩山地の高い峰々の頂きからはじまった。
朱の色は、早い速度で山火事のように尾根一帯を染め、互いに合流して深くきざまれた渓谷へなだれ落ちていった。
それは、谷間に鬱葱としげる樹木の葉をあざやかに染めながら、所々に滝を作って曲折する渓流の流れとともに下ると、やがて三毛別の支流に営まれた六線沢の村落をつつみ、さらに下流へと進んで海岸線にひろがっていった。
**引用終わり

紅葉の赤は小説を読むにつれ、やがて血の赤色の事ではないのか・・と思うようになる。

最後の解説のところは あの「北の国から」の倉本聡さんが書かれておりました。
この小説を富良野の原生林に小屋を建てる直前(昭和52年)に読んでしまった らしく、手違いで電気の引かれて無く、ローソクの炎で過ごした一夜、読んでしまった事を後悔した旨書かれておりました。
 数年後熊嵐のラジオドラマ化を担当された様です。

また北海道へ行く機会があれば訪ねてみたいところの一つとなった。
でも もう行く機会もないだろうな・・。



記事:羆嵐を読んで



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